商標法50条(社会通念上同一)

[作成・更新日:2018.8.30]

 商標法は、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的として、商標を保護するとしています(1条)。すなわち、商標は、使用してこそ保護する価値があるものです。したがって、使用されていない登録商標が存在するということは、他人による商標選択の狭めてしまうことになりかねず、商標法の制度趣旨から好ましいことではありません。
 そこで、日本は、登録主義(商標の使用の有無を問わず一定要件を満たすことで商標を登録するという考え方)を採用しつつも、その問題点を是正するための措置として、使用主義的な規定を採用しています。その一つが不使用取消審判(50条)です。
 商標法50条は、継続して三年以上日本国内において商標権者等が指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていないときは、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しています。
 ここで、問題となるのは、商標権者が登録商標そのものを使用していない場合です。商標法50条では、登録商標そのものでなく、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」の使用も登録商標の使用とみなしていますが、では、実際にどのような商標の使用が登録商標の使用と認められるのでしょうか。
 ここでは、「社会通念上同一と認められる商標」であるかどうかが争点となった審決取消訴訟の判決を紹介します(※ 判決は適宜追加更新していきます。)。

<参考>審判便覧(53-01 T 登録商標の不使用による取消審判)

 

● 知財高判平30・8・23 平成30年(行ケ)10037,38 3部 請求不成立審決→請求棄却

平成30年(行ケ)10037,38

【判決要旨】
・使用商標1,2は、書体も大きさも同一であり、全体が括弧で囲まれているものの、「旧」とその後に続く語とは空白によって明確に分離されていること、「旧」は、その後に続く語がかつて用いられていた名称等であることを指し示すものとして一般的に多用されている語であることからすると、需要者は、使用商標1,2の意味は、かつての名称が関西国際学友会日本語学校、国際学友会日本語学校であったことと理解する。
・したがって、使用商標2においては、「国際学友会日本語学校」の部分が、需要者の注意を引くものであって、出所表示機能を発揮するものである。
・そうすると、使用商標2において出所表示機能を発揮する「国際学友会日本語学校」は、本件商標2と同一であるから、本件商標2と使用商標2は社会通念上同一の商標である。
・また、「関西国際学友会日本語学校」は「関西国際学友会」が運営する「日本語学校」といった程度の意味を有する語として理解され、「関西国際学友会」と「日本語学校」とは、一体不可分の関係にあるとは言い難い上に、「日本語学校」は、日本語を教授する教育機関又は施設を意味する一般的名称であるから、需要者は、使用商標1中の「関西国際学友会日本語学校」につき、「関西国際学友会」の部分が出所を示す機能を果たしていると認識する。
・そうすると、使用商標1において出所表示機能を発揮する「関西国際学友会」は、本件商標1と同一であるから、本件商標1と使用商標1は社会通念上同一の商標である。

 

● 知財高判平30・2・19 平成29年(行ケ)10175 4部 請求不成立審決→請求棄却

平成29年(行ケ)10175

【判決要旨】
・使用標章は、本件商標と同様、赤字でゴシック体風に表されている「資格の学校」の文字からなり、各文字が等間隔で並び、同じ称呼、観念を生じるから、本件商標と社会通念上同一の商標である。
・原告は、使用標章は「資格の学校/TAC」であると主張するが、「資格の学校」の部分と「TAC」の部分とは、文字の大きさが異なる上、上下に分かれ、必ずしも不可分一体の構成をなすものではないから、冊子には、「資格の学校/TAC」という標章のみならず、「資格の学校」の標章及び「TAC」の標章も付されているというべきである。

 

● 知財高判平30・1・15 平成29年(行ケ)10107,8 4部 請求成立審決→請求棄却

平成29年(行ケ)10107,8

【判決要旨】
・本件商標1,2は、「緑健青汁」、「りょくけん青汁」、「リョクケン青汁」及び「RYOKUKEN AOJIRU」の文字を4段に書して成るものであるのに対し、使用商標は、「緑健青汁」の文字のみを書して成るものである。
・そうすると、このような本件商標1,2と使用商標とは、商標法50条1項にいう「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標…その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」であると、直ちに認めることはできない。

 

● 知財高判平29・12・13 平成29年(行ケ)10145 1部 請求不成立審決→請求棄却

平成29年(行ケ)10145

【判決要旨】
・本件商品において、「ハート」の片仮名部分は、ややデザイン化された赤い文字で表記されているのに対し、「O2EXスーパー」の文字部分は、白抜きのゴシック体で表記されていることに照らすと、「ハート」の文字と「O2EXスーパー」の文字が、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど一体不可分的に結合しておらず、また、「O2EXスーパー」の語が、指定商品であるコンタクトレンズにおいては、酸素透過性に関する性能上の特徴を表す記述であり、自他商品の識別機能が弱い語であることから、本件商標の指定商品の需要者及び取引者は、本件商品における「ハート」部分が、独立して自他商品識別標識としての機能を有し、本件商品の商標として本件商品の容器に表示されていると認識し、理解する。
・そうすると、本件商品の容器に商標として使用された「ハート」と、本件商標とは、「ハート」の文字がややデザイン化されていることを除いて外観はほぼ同一、称呼及び観念は同一であるから、社会通念上同一と認められる商標である。

 

● 知財高判平29・10・26 平成29年(行ケ)10118 2部 請求不成立審決→請求棄却

平成29年(行ケ)10118

【判決要旨】
・本件チラシ1の下段に記載されている「ピーアールタイムズ」の片仮名は、本件商標の下段の片仮名と同一であるから、本件商標と社会通念上同一の標章である。
・本件チラシ2の下段に記載されている「PRTIMES」の欧文字は、本件商標の上段の欧文字と同一であるから、本件商標と社会通念上同一の標章である。

 

● 知財高判平29・10・19 平成28年(行ケ)10268 2部 請求不成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10268

【判決要旨】
・本件商標と使用商標を対比すると、図形の形状は同じであり、線書きであるか白抜きであるかに差異があるのみであるから、本件商標と使用商標は、社会通念上、同一の商標である。

 

● 知財高判平29・9・14 平成28年(行ケ)10230 2部 請求成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10230

【判決要旨】
・平成26年法改正より前には、我が国において、位置商標の出願についての規定はないため、本件商標は、位置商標ではなく、通常の平面図形の商標であると解するほかない。
・そうすると、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているというためには、黒い実線で囲まれたX字状の部分のみならず、靴の形状をした点線部分も、平面図形の商標として使用されていなければ、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているということはできないが、原告製品には、X字状の標章が付されているものの、靴の形状をした点線部分の標章が平面図形の商標として使用されているということはできないから、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているとは認められない。

 

● 知財高判平29・6・28 平成28年(行ケ)10276 3部 請求不成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10276

【判決要旨】
・使用商標B-1において、「新潮」の文字と「クレスト・ブックス」の文字は、漢字と片仮名という文字種の違いから、明確に区別され、また、「クレスト」の文字と「ブックス」の文字についても、その間が「・」によって区切られていることから、使用商標B-1は、「新潮」、「クレスト」及び「ブックス」の3つの独立した語が組み合わされて表記された商標である。
・「書籍」に使用された使用商標B-1に接した取引者・需要者は、「新潮」の漢字部分を、出版社が被告であることを表示するものにすぎないと認識するから、「新潮」の漢字部分は、商標の同一性という観点からは重要性を持たない部分である。
・「書籍」に使用された使用商標B-1に接した取引者・需要者は、「ブックス」の片仮名部分を、これが付された商品が「書籍」であることを表示するものとして認識するから、これも商標の同一性という観点からは重要性を持たない部分である。
・他方、「クレスト」の片仮名部分は、「(ものの)頂上、山頂、波頭」などの意味を有する英語「crest」を片仮名表記したものとして認識され、その意味に従った観念を生じるところ、このような「クレスト」の語は、「書籍」との関係で特段の結びつきを有しないから、「書籍」に係る商品識別標識としての機能を果たし得るものであり、商標の同一性を基礎づける中核的部分である。
・そうすると、使用商標B-1の「クレスト」の片仮名部分を本件商標と比較すると、両者は、片仮名と欧文字という文字種の違いからくる外観上の相違はあるものの、「クレスト」の称呼及び「(ものの)頂上、山頂、波頭」などの観念をいずれも共通にすることから、使用商標B-1は、本件商標と社会通念上同一の商標である。

 

● 知財高判平28・11・7 平成28年(行ケ)10096 2部 請求不成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10096

【判決要旨】
・使用商標において、①「KIRIN」の欧文字部分と、波線及び「おいしさを笑顔に」の部分との間に空間があって、分離して観察できること、②「KIRIN」の欧文字は太く大書され、波線及び「おいしさを笑顔に」の文字は細く小さく書かれていること、③キリングループは、本件商標とほぼ同一の商標をキリングループのハウスマークとして使用する一方、本件商標とほぼ同一の商標を、防護標章として登録しており、この結果、本件商標は、キリングループの商品又は役務を示すものとして取引者及び需要者との間で周知著名になっていることから、「KIRIN」部分が、役務の出所がキリングループであることを示す商標として用いられている。
・そうすると、使用商標における「KIRIN」と、本件商標とは、色彩を除いて外観は同一ないしほぼ同一、称呼及び観念は同一であるから、社会通念上同一である。

 

● 知財高判平28・11・7 平成28年(行ケ)10093~95 2部 請求不成立審決→請求棄却

平成28年(行ケ)10093~95

【判決要旨】
・使用商標において、左側に「KIRIN」の欧文字、少し間隔を空けて右側に「Plus-i」図案を配し、「KIRIN」と「Plus-i」図案とは分離して観察でき、また、キリングループは、本件商標と同一又はほぼ同一の商標をキリングループのハウスマークとして使用しており、本件商標と同一又はほぼ同一の商標を防護標章として登録していることから、本件商標と同一又はほぼ同一の商標は、キリングループの商品又は役務を示すものとして取引者及び需要者の間で周知著名になっており、したがって、キリンプラス-アイ標章は、キリングループが出所であることを示す「KIRIN」の欧文字と、キリンの「健康プロジェクト」であることを示す「Plus-i」図案が併用されたものであり、「KIRIN」部分は、それのみでも、キリングループの商品であることを示す商標として表示されている、使用商標である。
・そうすると、使用商標「KIRIN」と、本件商標1とは、外観はほぼ同一、称呼及び観念は同一であるから、社会通念上同一であり、使用商標「KIRIN」と、本件商標2とは、称呼が同一であり、想像上の動物である「麒麟」の観念を生ずる点で共通するから、社会通念上同一であり、使用商標「KIRIN」と、本件商標3とは、称呼が同一であり、想像上の動物である「麒麟」と、ウシ目キリン科の動物である「キリン」の観念を生ずる点で共通するから、社会通念上同一である。

 

● 知財高判平28・4・26 平成27年(行ケ)10179 3部 請求不成立審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10179

【判決要旨】
・使用商標において、各文字の大きさには特段の差異はなく、ハイフン部分を除く各文字の間隔にも特段の差異はないから、「MFX」の文字部分は、外観上まとまったものとして看取され、その余の文字部分から分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではなく、むしろ、電子応用機械器具の取引者、需要者において、被告が製造販売する製品を表すひとまとまりの表示として認識される。他方、「EVシリーズ」の文字部分は、取引者、需要者において、「MFX」の語によって表象される一連の製品における個々の製品の種別や型番を表す語と理解され、それ自体には、出所識別標識としての特段の称呼や観念を生じない。したがって、「MFX」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識として機能し得るものであり、使用商標の要部である。
・そうすると、本件商標は、使用商標の「MFX」の文字部分と同一の文字からなるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。

 

● 知財高判平28・3・24 平成27年(行ケ)10203 3部 請求成立審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10203

【判決要旨】
・使用商標①において、「Rubotan」の欧文字と「LINE」の欧文字は、上下2段にまとまりよく併記され、外観上、いずれかが顕著に際立っているということはできず、また、使用商品について、販売名を「ルボタン ライン」とし、「LINE」の部分のみをその出所の識別標識として使用していた事情はないことから、使用商標①の構成中の「Rubotan」及び「LINE」の欧文字は、分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものではないが、需要者、取引者においては、ひとまとまりの表示として認識するから、「LINE」の欧文字部分が独立して自他商品識別標識として機能し得るものではない。
・そうすると、使用商標①の構成中の「LINE」の欧文字及び「ライン」の片仮名文字は、使用商標①の要部に当たらないから、使用商標①は本件商標と社会通念上同一と認められる商標ではない。
・使用商標②についても同様である。

 

● 知財高判平27・9・30 平成27年(行ケ)10086 3部 請求成立審決→審決取消

平成27年(行ケ)10086

【判決要旨】
・本件商標において、全体として上段及び下段の文字部分がまとまりよく配置され、また、「ハイガード」の片仮名文字は「HIGUARD」の欧文字の表音を示したものとして、両者は一体的に把握されるところ、本件商標全体から「ハイガード」の称呼が生じるから、本件商標と使用商標2及び3の称呼は同一である。
・使用商標2及び3からは、「高度な防御」といった観念が生じ、本件商標からも、これと同一の観念が生ずるから、本件商標と使用商標2及び3は、そこから生ずる観念が同一である。
・よって、本件商標と使用商標2及び3とは、外観上の相違があるものの、同一の称呼及び観念を生ずることから、使用商標2及び3は本件商標と「社会通念上同一と認められる商標」に該当する。

 

● 知財高判平27・9・30 平成27年(行ケ)10032 1部 請求不成立審決→請求棄却

平成27年(行ケ)10032

【判決要旨】
・「ヨーロピアン」との標章は、コーヒーに使用されている場合は、ほかに強い自他商品識別機能を有する商標と併用されているときには、単なる品質を表示するものとして使用されている場合が多いものの、本件包装袋における「ヨーロピアン コーヒー」の二段書き標章のように、他の自他商品識別機能の強い商標と併用されることなく、単独で使用され、かつ、他の文字に比べると大きく、商品の目立つ位置に表示されているときには、それ程強いものではないけれども、一応自他商品識別機能を有する商標として使用されている。そして、「ヨーロピアン コーヒー」の「コーヒー」は、商品の名称に過ぎないから、自他商品識別機能が全くなく、「ヨーロピアン コーヒー」の二段書き標章に一応の自他商品識別機能があるのは、 「ヨーロピアン」の標章によるものである。
・よって、「ヨーロピアン コーヒー」の二段書き標章の使用は、「コーヒー」が商品の名称に過ぎない以上、本件商標である「ヨーロピアン」を単独で使用した場合と同様であるから、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。

 

● 知財高判平27・6・30 平成26年(行ケ)10141 2部 請求不成立審決→請求棄却

平成26年(行ケ)10141

【判決要旨】
・使用商標1は、「BULLET」の文字よりなるから、本件商標と構成文字が同一であり、社会通念上同一の商標である。
・使用商標2の「ROYAL ENFIELD」は、旧社名から派生した二輪自動車のブランド名、「500」は排気量、「EFI」はエンジンにおける燃料噴射の電子制御システムの略語であるから、使用商標2は、外観上常に一体不可分のものとして認識されず、「BULLET」の文字部分が独立して要部として認識され得る。そうすると、本件商標とは、その文字綴りを同一にするから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標である。

 

● 知財高判平26・1・29 平成25年(行ケ)10090 2部 請求成立審決→審決取消

平成25年(行ケ)10090

【判決要旨】
・使用商標1は、全体が普通に用いられる字体で表示され、「デーロス」と「ジャパン」とが「・」により明確に区切られていることから、前半からは「デーロス」の称呼が生じ(観念は不明)、後半からは「ジャパン」の称呼と「日本」との観念が生じる。しかし、後半部分は、国際的観点からすれば、我が国の全域を指し示しているものであって、特段の限定を付したものではないから、「デーロス」と「デーロス・ジャパン」とが取引者・需要者に別異の観念を抱かせるものではない。よって、使用商標1と本件商標とは社会通念上の同一性を有する。
・使用商標2は、全体が普通に用いられる字体で表示され、「DEROS」と「JAPAN」との間に空白がある態様で使用され、また、「DEROS」は、をローマ字読みした「デロス」と読まれることが多いことから、前半からは「デロス」との称呼が生じ(観念は不明)、後半からは「ジャパン」の称呼と「日本」との観念が生じる。そして、商標において片仮名とローマ字とを相互に変更する場合は、社会通念上の同一性を失わないから(商標法50条1項かっこ書き)、本件商標の使用の有無の検討に当たって比較対象すべき点は、「デロス ジャパン」と「デーロス」との社会通念上の同一性の有無になる。そうしたところ、上記のとおり、「ジャパン」を付加することによって取引者・需要者に別異の観念を抱かせるものでなく、また、長音化したもの(デーロス)とそうでないもの(デロス)とは、外観上の差異がわずかである上、いずれもが特定の観念を抱かせないものであるから、その称呼の差異によって別個の観念は生じない。よって、使用商標2と本件商標とは、社会通念上の同一性を有する。

 

● 知財高判平25・12・25 平成25年(行ケ)10164 3部 請求不成立審決→審決取消

平成25年(行ケ)10164

【判決要旨】
・使用商標1,2において、「フィルター」ないし「FILETER」は、本件商標の指定商品であるたばこのフィルターを指す語であり、これをフィルター付きたばこに使用した場合、それ自体識別力を有しない語である。これに対し、「PEARL」の文字は、真珠という意味の英語であり、そのカタカナ表記である「パール」を含め、日本人によく知られている言葉であるから、これをたばこという商品に使用した場合に、自他識別機能を有する商標となり得る。
・しかし、使用商標1,2は、本件商品の二次的ブランドとして使用されているものである以上、取引者及び需要者はこれを一連一体のものとして認識し、把握するものであって、「パール」や「PEARL」のみを分離して認識し、把握するものではない。
・よって、使用商標1,2は、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。